以下の文章は元々はアウトリーチの機会に印刷配布していた体験資料を、ご家庭でも試していただけるように書き直したものです。小学生の夏休み自由研究や中高校生の科学部活動での参考資料になれば幸いです。もし内容ややりかたについての質問がございましたら、お気軽に阿部秀樹(habe@agr.nagoya-u.ac.jp)までご連絡いただければと思います。
左下の写真の白いものは、苦しまないように麻酔をかけて眠らせてから取り出したメダカの脳を背側,腹側,横から撮影した写真で,魚の脳は背側から見ると口に近い側から終脳(ヒトの大脳に相当する部分)、視蓋(中脳に相当し、眼からの情報を処理する)、小脳(体の動作を制御する)、延髄(呼吸など生存に不可欠な機能を制御する)に分かれています。腹側から見ると口に近い側から嗅球(匂いの情報を処理する)が終脳の口に近い側とつながっており、終脳と視蓋の間には視神経と脳下垂体が、視蓋の腹側には間脳があります。右下にはヒトの脳の構造をイラストで示しています。一見して魚とヒトでは脳の形が大きく異なりますが、写真やイラストの中に書いたように脳の大まかな部品は共通しています。

脳を構成する基本パーツはヒトと魚で同じですが、魚によって脳の形は様々に見えます。これは、その魚がどんな感覚を主に使っているかによって発達している(大きくなる)脳の場所が異なるからです。スーパーや魚屋さんで魚を買ってきたり、釣りに出かけて魚を捕ってきたら、おいしく食べるだけで無く脳をとりだしてメダカ(眼をよく使って餌を探したり、仲間の魚をみつける)の脳と比べてみましょう。その魚が眼をよく使うのか、鼻をよく使うのか、味を感じる能力が高いのかといったことを考えるヒントになりますよ。ここでは,スーパーなどで簡単に手に入れることができ、一度ゆでてあるので取り扱いも容易な「煮干し」を使って魚の脳を観察する方法を紹介します。
材料
- 煮干(主にカタクチイワシを材料に作られていますが,マイワシやウルメイワシが材料のこともあります。これら3種で脳の構造にはほとんど違いがありません。なるべく大きなものを使ってください。食べる小魚サイズですと慣れてないとむつかしいです。)
- 先端が尖ったピンセット(100円ショップで売っている物で充分です)か,爪楊枝
- 作業用に敷く紙(A4〜B4位の白い紙が便利)
- 細かいところを観察するための虫眼鏡
手順
- 事前に水またはお湯に煮干をつけて軟らかくする
- 頭部の骨の割れ目に爪楊枝もしくは先端が尖ったピンセットの先を少しだけ(1mm程度)
差し込み,ゆで卵の殻を取り外す感じで,少しずつ骨をとりはずす- 片手で虫眼鏡を持ちながら煮干の尻尾をおさえつつ,もう片手で爪楊枝もしくはピンセットを持つとやりやすいです。
- 脳は目の間よりも少し尾びれに近い背側にありますので,下の画像で示す矢印のあたりの骨の隙間から口に近い側に向かって外していくと良いです
- 煮干は加工(茹でて干す)過程で型崩れしていることが多いので,
①頭の形が壊れていないものを選ぶ,②複数の魚で観察してみる,のが上手に観察するコツです。


参考:マイワシの脳(お魚屋さんから購入してきたもの)

ほかの魚でも小さな魚なら、同じやり方でていねいに頭の骨を取り外せば、脳の形を簡単にみることができます。
また,鰓や胃・腸・肝臓・生殖器(卵巣や精巣)も見てみると良いでしょう(頭の骨をはずしたときと同じように,腹側をていねいに爪楊枝やピンセットでほぐせば,これらの構造をかんさつすることができます。)


上記内容を印刷して読みやすいようにpdf化しましたので、ご活用ください。


